
フランスと国境を接するスイス最西部に広がる美しいレマン湖。その湖の北部に位置するのが、文化都市・芸術都市・学術都市として知られるローザンヌだ。国際オリンピック委員会(IOC)本部があり、若手バレリーナ・舞踊手の登竜門として知られるローザンヌ国際バレエコンクールが開かれることでも有名だ。
ローザンヌは今から250年ほど前には人口9000人ほどの小さな街だったが、当時何と、劇場が18もあったというから、街全体が芸術に関心が高かったことが伺える。連日、演劇やオペラがどこかの劇場で演じられていたという。
フランスと国境を接しているために、ここは古くからフランス語圏だが、景勝地であることも相まって、フランスから続々と劇団やオペラ座がやってきては公演していた。
そうした基盤の上で、1804年には「ラ・コメディ劇場」が開場して大規模なオペラが上演可能となり、この劇場が閉鎖されたあとには、市民の熱望によって1871年5月にローザンヌ歌劇場の前身となる「ジョルジェット劇場」が開場、急速にオペラ芸術が広まったのだった。また、1918年にはストラヴィンスキーの舞台作品『兵士の物語』が初演されたことで、この劇場の存在も広く知られることとなった。
1931年の全面改修を経て、翌32年に再開場。オペラ、オペレッタ、コミックオペラの3つの部門を持つことになる。1956年からはこの歌劇場を中心にして「ローザンヌ国際音楽祭」が始まり、一気に世界的な名声を獲得するようになった。1983年にはパリ・オペラ座の名メゾ・ソプラノ歌手ルネ・オーファンが芸術監督に就任、意欲的な活動に拍車がかかる。1995年からは彼女の後を継いで、ドミニク・メイエル(2010年からウィーン国立歌劇場総監督に就任予定)、エリック・ヴィジエがこの歌劇場の名声を高めている。