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カルメン


それも、見慣れた「古いカルメン」ではない。今年5月のニュープロダクションによる「新しい、活きのいい、カルメン」だ。 この「ニュー・カルメン」を携えてやってくるのは、初来日の「ローザンヌ歌劇場」。フランスと国境を接するスイス・レマン湖のほとりにある香り高い都市ローザンヌの、ヨーロッパでも指折りのしゃれたセンスとエスプリを誇る歌劇場だ。

ビゼーの『カルメン』が生まれて今年で133年。初演当時は「えっ! タバコ工場の女工が主人公? 柄の悪い密輸入者も登場? おまけに舞台上で殺人? なんたることだ!」と衝撃を与え、散々な評判だったオペラも、今やオペラの代名詞。世界中で年間を通して最も数多く上演されている人気演目だ。それは、まずビゼーの音楽が魅力的であることが大きな要因だろう。全編、起伏と変化に富んだ豊かな音楽は、まるで極彩色の絵巻。聴く者の心を掴んで放さない。 また情熱的なキャラクターで男性たちを魅了するヒロインの存在も人気の所以と言えるだろう。 今回主役「カルメン」を演じるのは、「現代のカルメン歌い」は彼女だ、いやもう一人のこの女性だと音楽界を二分しているユリア・ゲルセワとマリーナ・ドマシェンコ。実力と美貌を兼ね備えた二人の「カルメン」が東京で覇を競う。 また「ニュープロダクション」の演出を手掛けるのは、昨年プラハ国立歌劇場『椿姫』の演出で目を見張らせたアルノー・ベルナール。衣裳や装置を担当するのも『椿姫』時とまったく同じチーム編成というから、これまた目が離せない。

 ピットには名門ローザンヌ室内管弦楽団をスケールアップさせたオーケストラが入る。さらに、エキストラやダンサーとして出演するのは、バレエファンにとっても見逃せないかのルードラ・ベジャール・バレエ学校の面々という豪華版。

 今年後半の日本のオペラ界の話題となること必至!と言っていいだろう。

10月12日・14日
 
10月13日
ユリア・ゲルセワ
カルメン

ミラノ・スカラ座『カルメン』で衝撃的なデビューを飾って以来、その美貌と優れた歌唱力から世界中の劇場から『カルメン』へのオファーが殺到している。これまで、ハンブルク国立歌劇場、ドレスデン国立歌劇場、トリノ王立歌劇場などに出演。本年5月にはフィレンツェ歌劇場『カルメン』(メータ指揮)に登場、大絶賛を浴びた。
 
マリーナ・ドマシェンコ
カルメン

1997年ドヴォルザーク国際声楽コンクールで第1位となったことで注目を浴び、以後世界中の歌劇場に出演するようになった。『カルメン』ではこれまで、ウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、ヴェローナ野外劇場、ベルリン国立歌劇場などに出演。本年8月のヴェローナ野外劇場『カルメン』に出演を予定している。
     
ジュリアン・ギャビン
ドン・ホセ

ハイティンク指揮のコベントガーデン王立歌劇場『ドン・カルロ』タイトルロールをはじめ、『カルメン』ドン・ホセ役では、ウィーン国立歌劇場でドマシェンコと共演、マドリッド王立劇場など一流劇場を踏破。本年3月にはウィーン国立歌劇場『ホフマン物語』タイトルロールを歌い大好評を博した。
 
ルーベンス・ペリッツァーリ
ドン・ホセ

トリエステ歌劇場『イル・トロヴァトーレ』マンリーコ役、パレルモ・マッシモ劇場『シチリアの夕べの祈り』アルリーゴ役、ウィーンで『アッティラ』フォレスト役などに出演。本年6月にはトリノ王立歌劇場『エドガー』にホセ・クーラとダブルでタイトルロールを歌い絶賛された。
     
ジャン=フランソワ・ラポワント
エスカミーリョ

プレートル指揮ミラノ・スカラ座『ペレアスとメリザンド』ペレアスを歌い好評を博す。同役でトゥールーズ・キャピトル劇場、ハイティンク指揮パリ・シャンゼリゼ劇場にも登場。その他トリエステ歌劇場『ドン・ジョヴァンニ』『ハムレット』題名役、ジュネーヴ大劇場『ハムレット』題名役など活躍が光る。
 
ミコワイ・ザラシンスキ
エスカミーリョ

フェニーチェ歌劇場『パルジファル』クリングゾール役、トリノ王立歌劇場では『カルメン』エスカミーリョを歌い大絶賛される。また、ベルリン・フィルハーモニーホールでのコンサートにも出演。フェニーチェ歌劇場『パルジファル』の録音はdynamic社からリリースされ、名盤として支持されている。
     
ノエミ・ナーデルマン
ミカエラ

チューリッヒ歌劇場養成所を経て、1987年フェニーチェ劇場と契約。これまでハンブルク国立歌劇場『椿姫』、パリ国立オペラ、MET、ウィーン国立歌劇場の『ラ・ボエーム』などに出演。アーノンクール、ウェルザーメスト、ティーレマン、エッシェンバッハ、オーレンら大指揮者からの出演依頼も多数。
 
ブリギッテ・フール
ミカエラ

ミレッラ・フレーニのもとで学び、50周年記念特別ガラコンサートに出演。2006年にミラノ・スカラ座にて、ニコラ・ジョエル演出『マノン』プセット役でデビュー。以後、リヨン国立オペラ『パリの生活』、トゥールーズ・キャピトル劇場『魔笛』、パリのオペラ・コミック劇場『アメリア舞踏会に行く』などに出演。
 
 
※ 表記の出演者は6月末日現在の予定です。やむを得ない事情により出演者が変更になる場合がございます。
最終的な出演者は公演当日に発表させていただきます。
尚、出演者変更に伴う払い戻しは一切できませんので、あらかじめご了承ください。

シリル・ディーデリッヒ
指揮

指揮者・作曲家を父とするフランスの音楽家系に生まれる。ボド、カサドシュらのアシスタントを務めた後、1996年にストラスブールのライン国立歌劇場の首席客演指揮者に就任。その後オペラ指揮者として世界の主要劇場に客演するようになった。『カルメン』はパリ国立オペラ、ジュネーブ大劇場で客演し成功を収めている。その品格に満ちた豊かな音楽性は、フランス人指揮者の第一人者との呼び声が高い。
アルノー・ベルナール
演出

ストラスブール生まれ。1988年に演出家ニコラ・ジョエルのアシスタントを務め、スカラ座、MET、パリ国立オペラなどの制作に携わる。96年からトゥールーズ・キャピトル劇場の制作部長。フェニーチェ歌劇場『ルイザ・ミラー』、ナポリ・サンカルロ劇場『ファルスタッフ』、パリ国立オペラ『修道院での婚約』など演出家としての客演も多い。
     
ローザンヌ室内管弦楽団 Orchestre de Chambre de Lausanne
ローザンヌ歌劇場合唱団 Choeur de l'Opéra de Lausanne
ルードラ・ベジャール・バレエ学校 Rudra Béjart School-Lausanne
フランスと国境を接するスイス最西部に広がる美しいレマン湖。その湖の北部に位置するのが、文化都市・芸術都市・学術都市として知られるローザンヌだ。国際オリンピック委員会(IOC)本部があり、若手バレリーナ・舞踊手の登竜門として知られるローザンヌ国際バレエコンクールが開かれることでも有名だ。
 ローザンヌは今から250年ほど前には人口9000人ほどの小さな街だったが、当時何と、劇場が18もあったというから、街全体が芸術に関心が高かったことが伺える。連日、演劇やオペラがどこかの劇場で演じられていたという。
 フランスと国境を接しているために、ここは古くからフランス語圏だが、景勝地であることも相まって、フランスから続々と劇団やオペラ座がやってきては公演していた。
 そうした基盤の上で、1804年には「ラ・コメディ劇場」が開場して大規模なオペラが上演可能となり、この劇場が閉鎖されたあとには、市民の熱望によって1871年5月にローザンヌ歌劇場の前身となる「ジョルジェット劇場」が開場、急速にオペラ芸術が広まったのだった。また、1918年にはストラヴィンスキーの舞台作品『兵士の物語』が初演されたことで、この劇場の存在も広く知られることとなった。
 1931年の全面改修を経て、翌32年に再開場。オペラ、オペレッタ、コミックオペラの3つの部門を持つことになる。1956年からはこの歌劇場を中心にして「ローザンヌ国際音楽祭」が始まり、一気に世界的な名声を獲得するようになった。1983年にはパリ・オペラ座の名メゾ・ソプラノ歌手ルネ・オーファンが芸術監督に就任、意欲的な活動に拍車がかかる。1995年からは彼女の後を継いで、ドミニク・メイエル(2010年からウィーン国立歌劇場総監督に就任予定)、エリック・ヴィジエがこの歌劇場の名声を高めている。



2008年5月現地プレミエ上演にて撮影 ©Marc Vanappelghem


「『カルメン』なら知っている」と言う前に、このニュープロダクションを観て欲しい。『古典に返ろう。結果的にはそれが常に進歩となるから』と言ったのはヴェルディだが、その言葉通り、古いのに新しい。『カルメン』の舞台はスペインだが、作曲家ビゼーはフランス人なのだから、フランス音楽として演奏されるべきなのだ。丁度『蝶々夫人』が、日本の物語でも、プッチーニのオーケストレーションはバリバリのイタリア音楽で濃い味付けになっているのと反対に、派手に演奏された『カルメン』に慣れきってしまっていた私達に、フランス人指揮者のディーデリッヒ率いるオケはフランス音楽独特の透明感を返してくれる。そしてベルナールの奇をてらわないクラシカルな演出で相乗効果を増し、原典に忠実な『カルメン』が繰り広げられるのだ。
 お馴染みの序曲で幕が開くとまず私達の目に飛び込んで来る「赤」のシーン。闘牛士達が十字架のイエスに祈りを捧げている。彼らの集中力に引きつけられている内に、観客はもうカルメンの物語の目撃者に仕立て上げられている。全てが自然で、作り物の舞台という匂いがしない。合唱やエキストラの動きも緻密に練り上げられ、緊迫感に満ちている。まるで目の前で現実に起きているかのような等身大の演技と、極めてレベルの高いアンサンブルの両方が観客をとらえて離さない。場面ごとに、映画のスクリーンが絞られていくような上と両脇から幕が閉じる手法が臨場感を寄り盛り上げる。フランス音楽作品としての品格と物語の写実性で貫かれたプロダクションは、まさにローザンヌという街が育んできたエレガント志向を表しているのだろう。幕が閉じると『カルメン』の最後の目撃者となった私たち聴衆が劇場の座席に残される・・・。日本オペラ界の話題となること必至!と言っていいだろう。
中 東生(音楽ライター)


【会場】
東京文化会館
【開催日時
2008年10月12日(日) 開場16:30 開演17:00 J.ゲルセワ出演
2008年10月13日(祝) 開場14:30 開演15:00 M.ドマシェンコ出演
2008年10月14日(火) 開場18:00 開演18:30 J.ゲルセワ出演
【チケット価格】
S¥26,000 A¥21,000 B¥16,000 C¥12,000 D¥9,000
学生¥5,000(25歳以下で学籍をお持ちの方)
【チケット取扱】
コンツェルト・ハウス・ジャパン 03-3538-8188

電子チケットぴあ(Pコード284-946)0570-02-9990 pia.jp/t
イープラス eplus.jp
東京文化会館チケットサービス 03-5815-5452
東京音協 03-3201-8116
コンサートイマジン 03-3235-3777
【主催】
テレビ朝日/コンツェルト・ハウス・ジャパン
【協賛】
中外製薬
【後援】
スイス大使館
【ローザンヌ歌劇場・オフィシャルスポンサー】
Lausanne Tourism、Lausanne Palace and Spa、Beau Rivage Palace、BDGFoundation Leenaards、Swiss air、Parmigiani watches、Hoffman La Roche

【その他の公演情報】
大宮ソニックシティ
大ホール
2008年10月25日(土) 開場16:30 開演17:00 J.ゲルセワ出演
S¥18,000 A¥15,000 B¥12,000 C¥9,000 D¥7,000
※3枚以上ご購入の場合はグループ割引有
【お問合せ・チケット取扱】03-3538-8188/048-647-7722
【全国日程】
10/9(木)
府中
府中の森芸術劇場
042-333-9999
10/10(金)
神戸
神戸国際会館
078-231-8162
10/11(土)
大阪
フェスティバルホール
06-6231-2221
10/15(水)
東京
東京文化会館(都民劇場)
03-3572-4311
10/17(金)
市川
市川市文化会館
047-379-5111
10/18(土)
浜松
アクトシティ浜松
053-451-1114
10/19(日)
愛知
愛知県芸術劇場
052-957-3333
10/21(火)
福岡
アクロス福岡シンフォニーホール
092-414-8306
10/22(水)
大分
iichiko総合文化センター
097-533-4004
10/24(金)
武蔵野
武蔵野市民文化会館
0422-54-2011
10/26(日)
横須賀
よこすか芸術劇場
046-823-9999

※上記のスケジュールは、公演が決定し公表が可能なものです。
未公開情報については、公表が可能になり次第随時お知らせ致します。






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